■糖尿病とは ―糖尿病のことを知っていただくために―

 このページは一般の方や糖尿病の方に糖尿病のことを知っていただくために作られたものです。
 このページは、日本糖尿病学会等関連学会によるガイドラインに準拠して順次作成していきますが、内容の一部に、関連学会等において、まだ十分なコンセンサスが得られていないもの等が含まれている可能性があることをご了承ください。また、糖尿病の病状はひとりひとり違います。糖尿病の方は必ず、主治医とご相談になりながら、糖尿病の治療を続けてください。
 さらに糖尿病について詳しく知るために、日本糖尿病学会から出版されている「糖尿病治療の手引き-患者さんとその家族のための」をお読みになることをおすすめします。

 <目 次>



 糖尿病とは、血液の中のブドウ糖という糖が濃くなり過ぎて、すぐにあるいは将来問題をおこす病気のことです。血液の中のブドウ糖(血糖)の濃度を望ましい範囲に保つのに一番大切なのは、インスリンというホルモンです。インスリンは膵臓で作られ、血糖の値が高くなるとより多く血液に出ていき、筋肉、肝臓、脂肪などに働いて、血糖値を下げます。私たち人間はインスリンなしに生きて行くことはできません。糖尿病はこのインスリンの血糖を下げるシステムに問題が起きている病気です。


・1型糖尿病と2型糖尿病、その他の糖尿病

 糖尿病はどれも同じかというとそうではありません。いくつかの型(病型)があることが知られています。
 1型糖尿病とは、膵臓のインスリンを出す細胞(B細胞)が、こわされてしまう病気です。B細胞からインスリンがほとんど出なくなることが多く、1型糖尿病と診断されたら、治療にインスリンを使います。糖尿病全体の5〜10%が1型糖尿病です。残念ながら、いまのところ、1型糖尿病を予防する手段はありません。
 2型糖尿病とは、B細胞から出るインスリンの量が少なく、年とともにそれがさらに減ることに加えて、多くの場合インスリンが十分に効かないことにより、血糖値が高くなる病気です。肥満や運動不足により、インスリンが十分に効かなくなることが知られています。それで昔に比べて2型糖尿病の患者さんがものすごい勢いでふえているのであろうといわれています。2型糖尿病のかなりの部分は、生活習慣を改善すること(食べ過ぎない/よく運動する)で発病を防ぐ/遅らせることができます。
 糖尿病にはその他に、慢性膵炎によるものや、肝臓病や内分泌の病気と関係しておこるもの、遺伝子の変化でおこる特殊なものなどもあります。


・糖尿病になると、何か症状が出るのでしょうか?

 2型糖尿病の患者さんは糖尿病を発病していても、最初は「何の症状もありません」。これがこの病気のこわいところです。何年もたって血糖値がとても高くなってくると、以下のような症状が出てきます。1型糖尿病の患者さんは、発病してすぐに血糖が極めて高くなることもあります。突然高血糖による激しい症状や意識障害にみまわれて1型糖尿病と診断されることも少なくありません。
 血糖がとても高くなって出てくる症状は、
  のどが渇く(そのために水などをよく飲む)
  尿の量や回数がふえた
  急に体重がへった
                        などです。

 また合併症と関係した以下のような症状がでてくることがあります。
  あしがしびれる、つる あしがむくむ
  目がみえにくい
  きずのなおりが悪い

 このような症状があって糖尿病が心配だと思ったら、すぐに医療機関で検査をうけてください。また、後でお話しますが、このような症状がなくても、検診などで糖尿病だ、糖尿病予備群だ などといわれたときにも、すぐに医療機関で検査をうけてください。


・「糖尿病だなんて知らなかった」ということのないように

 皆様に質問です。

Q1 のどが渇き、尿の回数がふえた方は糖尿病を発病している可能性が高いので、なるべく早く検査が必要です。それではそのような症状がなければ、糖尿病ではないのでしょうか?

A1 答えは「いいえ」です。調べてみないと糖尿病かどうかはわからないのです。多くの糖尿病の方は何の症状もありません。

 次の質問です。

Q2 今、日本に 糖尿病が強く疑われる人、糖尿病の可能性が否定できない人が、どのくらいいるのでしょうか?

A2 糖尿病が強く疑われる人が約890万人、糖尿病の可能性が否定できない人が約1320万人といわれています(2007年国民健康・栄養調査 厚生労働省)。中年の男性の5人に1人は糖尿病、あるいはその可能性が否定できない人だといわれています。

 最後にもうひとつだけ質問です。

Q3 糖尿病が強く疑われる人のうち、自分が糖尿病だと知らずにいる人が、全国にどのくらいいるのでしょう?

A3 糖尿病が強く疑われる人の半数弱の方が、自分が糖尿病だと知らないか、いったんは医療機関にかかっても、そのあとは通院していないといわれています。

 糖尿病の患者さんのほとんどは糖尿病を発病していても、最初は「何の症状もない」のです。これがこの病気のこわいところです。今でも、目がみえなくなったことで、初めてご自分が糖尿病だと知った方が、あるいは、足がむくみ、吐き気がするといって病院にきたときには、糖尿病で腎臓が悪くなっていて、すぐに透析になった方が、「糖尿病だなんて知らなかった」あるいは「こんなことになるのなら、糖尿病を治療しておけばよかった」と嘆いておられるのです。

 このホームページをご覧の皆様に、お願いしたいことがあります。
  1. 糖尿病を早期に発見するために、地域や会社の検診を毎年受けてください。
  2. もしあなたのまわりに毎年の検診をしていない方がいたら、是非検診を受けるようにすすめてください。
  3. もし糖尿病予備群だとか、境界型だとかいわれたら、地域や会社や医療機関を利用して、糖尿病を発症しないための生活習慣指導をうけて、糖尿病になりにくい生活とはどのようなものかを覚え、実際にやってみてください。
  4. もし糖尿病を発病されていたら、あるいは「糖尿病の気がある」といわれたら、すぐ医療機関を受診してください。そして、「いま合併症がないから通院は終わり」「よくなったから通院は終わり」「糖尿病によいとされている健康食品を採っているから通院しなくても大丈夫」等々とは絶対に考えないで、通院を続けてください。
  5. もしもあなたのまわりに糖尿病だと知っていながら医療機関に行かないあるいは行くのをやめた人がいたら、是非医療機関にかかることをすすめてください。
  6. 糖尿病の方は、今でも世間の「糖尿病だから仕事をするのは無理だろう。」「インスリンを打っているとは、かなり糖尿病が悪いにちがいない。」などの間違った考えかたに苦しめられることがあります。病状によっては、仕事の内容を選ばないとならない方もありますが、それはむしろ例外的なことです。糖尿病を持つ方は、社会のあちらこちらで活躍しています。インスリンを打つのは、糖尿病の合併症を悪化させないためのもので、必要な時期にインスリンを打たない方が、よっぽど体に悪いのです。皆様には、糖尿病に対するよき理解者として、糖尿病に対する間違った考えが世間から無くなるよう、力を貸していただきたいと思います。


・「こんなことになるのなら、糖尿病を治療しておけばよかった」ということのないように

 皆様に質問です。

Q1 検診で糖尿病だといわれました。症状がないので特になにもしなくてよいように思います。どうでしょうか?

A1 答えは「いいえ」です。すぐ医療機関を受診してください。そして、「いま合併症がないから通院は終わり」「よくなったから通院は終わり」とは絶対に考えないで、通院を続けてください。

今自覚症状がないのになぜ糖尿病で通院を続けなくてはいけないのでしょう?
 糖尿病の患者さんが通院を続けなくてはいけない理由はいくつかあります。
  • 膵臓のB細胞からインスリンがほとんど出なくなっている1型糖尿病の方がインスリン治療をやめてしまうと、糖尿病性ケトアシドーシスという危険な合併症をおこしてしまいます。2型糖尿病の方でもインスリンの分泌が大きく損なわれているのに治療をやめてしまうと、高血糖性高浸透圧性昏睡や重症の細菌感染症、結核など危険な合併症をおこすことが多いです。
  • 自覚症状がなくても、「糖尿病」の高い血糖値をそのままにしておくと、膵臓のインスリンを出す細胞(B細胞)が死んでしまい、さらにインスリンが出なくなることでさらに血糖値が高くなるという悪循環におちいってしまいます。
  • 将来、重大な糖尿病の合併症(例えば眼底出血による失明、透析)に苦しめられる危険が高くなります。この先糖尿病に必要な療養をしないでいると間違いなく合併症が出るだろうという状態、あるいはすでに合併症が始まっている状態であってもほとんどの場合は自覚症状がありません。それを知らずに通院を止めると、合併症の治療をする時期を逸することになります。


・糖尿病をコントロールするとはどういうことでしょう?

 たとえば細菌による肺炎は、薬(抗生物質)で治療をして、原因だった細菌がいなくなり完全に治れば、その後は通院する必要はありません。このような病気と違って、糖尿病は「治ったから今後は通院の必要なし」ということにはなりません。通院を止めてしまうと、再び糖尿病が悪くなってしまうからです。
 糖尿病は治す病気ではなく、コントロールする(病気を制圧する/おさえこむ)病気であるといわれています。「糖尿病をコントロールする」ことは、糖尿病の方が、糖尿病のない方と同じように元気で長生きするために大切なことです。糖尿病をコントロールするとは、どのようなことかと言いますと、
  1. 定期的に医師の診察をうけ、体重、血圧、血液や尿の検査をし、その結果に基づいて生活習慣改善についてのアドバイスをうけ、アドバイスに沿った生活習慣を心がける、
  2. 必要であれば薬やインスリンによる治療をうけて、血糖値、体重、血圧、脂質(コレステロールや中性脂肪)、を適正な値にコントロールする、
  3. 禁煙と節酒をする、
  4. 合併症が出ていないか、悪化していないかについて、病状に応じた適切な検査を定期的にうけ、その結果に基づいて必要な治療や検査を追加する ということです。「糖尿病をコントロールする」ということが、単に「血糖値だけをコントロールする」というものではないことを知っていただきたいと思います。

糖尿病情報センターでは、個人の病状などに関する個別のご相談には応じかねます。